
Mr.クライアント
「突然だが、1型糖尿病という病気は知っているかね?生活習慣に関係なく血糖値を一定に保つ働きを持っているインスリンというホルモンが分泌されなくなる病気のことなのだが。」
デザイナー
「よく耳にする糖尿病とは違うのですか?」
Mr.クライアント
「そうだ。日本の糖尿病患者の約95%は2型糖尿病といって、遺伝的な要因に加えて運動不足や食べ過ぎ等の生活習慣が加わることで発症してしまう病気なんだ。しかし残り約5%は生活習慣に関係なくある日突然発症してしまう1型糖尿病という病気なんだよ。その他にも免疫疾患によるものや、妊娠糖尿というものがあったり、糖尿病と言っても実は種類は様々なんだ。
今回の案件では、それら1型糖尿病・2型糖尿病や、その他の糖尿病の種類を問わず多くの人に正しく知ってもらい、病気で悩んでいる人たちへの寄付を募るための商品デザインをお願いしたいと考えている。
商品については第6回のコンテストでも使用した「RibbonMagnet®(リボンマグネット)」という米国で生まれた社会貢献アイテムをデザインしてもらいたいんだ。名前の通りリボンの形をしたマグネットで、車や冷蔵庫、玄関などに貼って支援の意志を表すことができるアイテムなんだよ。この商品が販売されると収益は糖尿病患者の為の医療支援などに寄付されることになる。」
デザイナー
「なるほど、ちなみに今回のリボンマグネット®製作に対するテーマはどういったものなのですか?」
Mr.クライアント
「糖尿病について正しく理解してもらうためのリボンマグネット®を6つのテーマの中から提案してもらいたい。
1つ目は「1型糖尿病を知ってくださいマグネット」
糖尿病の中でも幼少期に発症することが多く、ある日突然発症したその日から一生注射を打ち続けなくてはいけない病気で、その後の生活が大きく変化してしまうんだ。そんな1型糖尿病をもっとたくさんの人に知ってもらうためのデザインをお願いしたい。
2つ目は「血糖値を毎日コントロールしている私たちにエールを!マグネット」
1型糖尿病患者は1日に4~5回血糖値を測り、食事の量に合わせ注射やポンプで毎日インスリンを補給しているんだ。お父さんやお母さんはお子さんが寝ている間にも子供が低血糖にならないよう気にかけている。2型糖尿病も血糖値のコントロールは必要だ。そんな毎日頑張っている患者さんとその家族が元気づけられるようなデザインをお願いしたい。
3つ目は「糖尿病の原因は様々、種類も様々マグネット」
生活習慣によるイメージが強い病気だが、原因には環境、遺伝、体質、自己免疫など様々なものがある。糖尿病にはいろいろな原因と種類があることを知ってもらえるようにデザインしてもらいたい。
4つ目は「糖尿病と共存していこうマグネット」
糖尿病は闘ったり克服する病ではなく、発症してしまうと一生付き合っていかなければならない病気なんだ。現在の医療では完全に治すことができない糖尿病と、共に歩んでいくことをイメージしたデザインも欲しい。
5つ目は「いっしょに糖尿病撲滅を目指そう!マグネット」
現代の医療では治らない病気だが、いつか糖尿病が治る病気になるその日が迎えられたら良いとは思わないか?患者やその家族がそんな未来への希望を持てるようなデザインをお願いしたい。
6つ目は「カーボカウントマグネット」
カーボカウントというのは、食事中の炭水化物量(カーボ)を計算(カウント)することで、必要なインスリンの量を調節する方法だ。うまく血糖値をコントロールする事ができるこの方法を知ってもらえるようなデザインもお願いしたい。
以上6つのテーマから関心を持ったもの、伝えたいと思ったものを選んでデザインしていただきたい。内容は理解できたかね。」
デザイナー
「わかりました。ではこちらはいつまでに提出すればよいですか?」
Mr.クライアント
「9月27日(月)昼12:00までだ。今回もいつもと同じでコンペ形式で行う。もっとも素晴らしい案には5万円お支払いすることになっている。また、もっとも素晴らしい案を含め、数点を実際に商品化することになる。」